旅行業登録の要件と種別

旅行業の登録要件とは?

1.旅行業登録の拒否要件

登録の申請者が以下のいずれかに該当する場合には登録できません。

  1. 第19条の規定により旅行業又は旅行業者代理業の登録を取り消され、その取消しの日から5年を経過していない者(当該登録を取り消された者が法人である場合においては、当該取消しに係る聴聞の期日及び場所の公示の日前60日以内に当該法人の役員であった者で、当該取消しの日から5年を経過していないものを含む。)
  2. 禁錮以上の刑に処せられ、又はこの法律の規定に違反して罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から5年を経過していない者
  3. 申請前5年以内に旅行業務に関し不正な行為をした者
  4. 営業に関し成年者と同一の能力を有しない未成年者でその法定代理人が前3号の1に該当する者
  5. 成年被後見人若しくは被保佐人又は破産者で復権を得ない者
  6. 法人であって、その役員のうちに第1号から第3号まで又は前号の一に該当する者がある者
  7. 営業所に第11条の2の規定による旅行業務取扱管理者を確実に選任すると認められない者
  8. 旅行業を営もうとする者であって、当該事業を遂行するために必要と認められる第4条第1項第4号の業務の範囲の別ごとに国土交通省令で定める基準に適合する財産的基礎を有しない者
  9. 旅行業者代理業を営もうとする者であって、その代理する旅行業を営む者が2以上である者

2.事業目的が旅行業であること

法人で申請する場合は定款、登記簿謄本の事業目的を次のとおりにする必要があります。

  • 旅行業・・・「旅行業法に基づく旅行業」
  • 旅行業者代理業・・・「旅行業法に基づく旅行業者代理業」

3.基準資産額が一定額以上

旅行業の場合は、財産基礎として、「基準資産額」が第1種の場合は3000万円以上、第2種の場合は700万円以上、第3種の場合は300万円以上、地域限定の場合は100万円以上であることが必要となります。

また、旅行業者代理業については基準資産額が必要ありません。

※基準資産額とは?

基準資産額は、旅行業を営む際に必要とされる財産的基礎となっています。

新たに会社を設立して旅行業をはじめる場合には、基準資産額+保証金(又は保証金分担金)の金額以上を資本金として会社を設立する必要があります。

また、既存の会社で旅行業を始める場合には、資産総額から繰延資産・営業権・負債総額を差し引いた金額に保証金(又は保証金分担金)を足した金額以上の資本が必要となります。

旅行業の種別
基準資産額
第1種旅行業
3,000万円
第2種旅行業
700万円
第3種旅行業
300万円
地域限定旅行業
100万円

※基準資産額については、各旅行業の種別で詳しく説明しています。

4.旅行業務取扱管理者の選任

  1. 総合または国内の旅行業務取扱管理者を選任することが必要となりますが、海外旅行を取扱う営業所においては、必ず総合旅行業務取扱管理者を選任する必要があります。
  2. 営業所ごとに1人以上の常勤専任で働く旅行業務取扱管理者を選任することが必要となります。
  3. 旅行業に関わる従業員数が10人以上の営業所においては、2人以上の旅行業務取扱管理者を選任することが必要となります。

第1種旅行業とは?

第1種旅行業

第1種旅行業とは、国内・海外の募集型企画旅行、受注型企画旅行、手配旅行、他社募集型企画旅行代売など全ての旅行契約を取扱える旅行業登録です。

取扱う業務は旅行契約の全てを行うことができるため、営業保証金や基準資産額などの財産要件が最も厳しいものとなっています。

財産要件の厳しさから、容易く起業というわけにはいかないのが、第1種旅行業だともいえます。

第1種旅行業の取り扱う業務の範囲

旅行契約全ての業務が行えます。

ただし、海外の業務(◎の業務)を行う際には、旅行業務取扱管理者は必ず総合の資格を持った方を選任する必要があります。

第1種旅行業 募集型企画旅行契約 受注型企画旅行契約 手配旅行契約 他社募集型企画旅行代売 登録先
海外 国内 海外 国内 海外 国内 海外 国内 観光庁長官の登録

登録の条件

基準資産額が3000万円以上であることが必要です。

営業保証金の場合 7000万円
弁済業務保証金分担金の場合(旅行業協会加入の場合) 1400万円
基準資産額 3000万円

基準資産額 = 資産総額-繰延資産(創業費等)-営業権-負債の総額-営業保証金(又は弁済業務保証金分担金)

例えば、資産が2億円・負債1億円・旅行業協会に未加入の会社の場合、営業保証金7000万円が必要となりますので、2億円-1億円-7000万円=3000万円となり、基準資産額3000万円を満たすことになります。

また、新設の会社の場合には、営業保証金7000万円+基準資産額3000万円で最低資本金1億円が必要となります。

旅行業協会に加入の場合は、営業保証金が1/5の金額の弁済業務保証金分担金となりますので、上記の営業保証金7000万円を弁済業務保証金1400万円に置き換えて算定します。

上記の場合、資本金が4400万円あれば、弁済業務保証金分担金1400万円を引いても基準資産額3000万円を満たすので、第1種旅行業の登録申請が可能です。

第2種旅行業とは?

第2種旅行業

第2種旅行業とは、『海外の募集型企画旅行』以外の全ての旅行契約を取り扱える旅行業登録をいいます。

第1種旅行業よりも取り扱える業務の範囲が狭いため、営業保証金や基準資産額などの財産要件が第1種旅行業に比べて低く設定されています。

第2種旅行業の取り扱う業務の範囲

国内の旅行業務しか取扱わない場合には、旅行業務取扱管理者は国内の資格を持った方の選任で対応できますが、海外の業務(◎の業務)を行う際には、旅行業務取扱管理者は必ず総合の資格を持った方を選任する必要があります。

第2種旅行業 募集型企画旅行契約 受注型企画旅行契約 手配旅行契約 他社募集型企画旅行代売 登録先
海外 国内 海外 国内 海外 国内 海外 国内 都道府県知事の登録
×

登録の条件

基準資産額が700万円以上であることが必要です。

営業保証金の場合 1100万円
弁済業務保証金分担金の場合(旅行業協会加入の場合) 220万円
基準資産額 700万円

基準資産額 = 資産総額-繰延資産(創業費等)-営業権-負債の総額-営業保証金額(又は弁済業務保証金分担金)

例えば、資産が3000万円・負債1000万円・旅行業協会に未加入の会社の場合、営業保証金1100万円が必要となりますので、3000万円-1000万円-700万円=1300万円となり、基準資産額700万円を満たすことになります。

また、新設の会社の場合には、基準資産額700万円、営業保証金1100万円で最低資本金1800万円が必要となります。

旅行業協会に加入されている場合は、営業保証金は1/5の金額の弁済業務保証金分担金となりますので、営業保証金1100万円を弁済業務保証金分担金220万円に置き換え算定します。

上記の場合、資本金が920万円あれば、弁済業務保証金分担金220万円を引いても基準資産額700万円を満たすので、第2種旅行業の登録申請が可能です。

※都道府県によっては、最低資本金額以上の財産基準を必要とするところもあります。

第3種旅行業とは?

第3種旅行業

第3種旅行業とは、海外、国内を問わず自社で募集型企画旅行を行うことはできない旅行業登録をいいます。

ですが、下記に参照しているように、一定の場合には国内の募集方企画旅行を実施することができるようになりました。

第一種、第二種旅行業よりもさらに取り扱える業務範囲が狭いため、営業保証金や基準資産額などの財産要件がより低く設定されています。

第3種旅行業の取り扱う業務の範囲

平成19年5月12日施行の旅行業法改正により、第3種旅行業務の範囲が変更され、一定条件のもと、国内の募集型企画旅行を実施することができることとなりました。

国内の募集型企画旅行を実施するためには、以下の両方の要件を満たす必要があります。

1.募集型企画旅行の催行区域が、当該募集型企画旅行毎に、当該事業者の一の営業所が存する市町村(東京都の特別区を含む。以下同じ。)及びこれににより形成される区域内に設定されていること。

第3種旅行業 募集型企画旅行契約 受注型企画旅行契約 手配旅行契約 他社募集型企画旅行代売 登録先
海外 国内 海外 国内 海外 国内 海外 国内 都道府県知事の登録
×

登録の条件

基準資産額が300万円以上であることが必要です。

営業保証金の場合 300万円
弁済業務保証金分担金の場合(旅行業協会加入の場合) 60万円
基準資産額 300万円

基準資産額 = 資産総額 - 繰延資産(創業費等)- 営業権 - 負債の総額-営業保証金額又は弁済業務保証金分担金

例えば、資産が900万円・負債300万円・旅行業協会に未加入の会社は営業保証金300万円が必要ですので、900万円-300万円-300万円=300万円となり、基準資産額300万円を満たすことになります。

また、新設の会社の場合には、基準資産額300万円、営業保証金300万円で最低資本金600万円が必要となります。

旅行業協会に加入されている場合は、営業保証金は1/5の金額の弁済業務保証金分担金となりますので、営業保証金300万円を弁済業務保証金分担金60万円に置き換えて算定します。

上記の場合、資本金が360万円あれば、弁済業務保証金分担金60万円を引いても基準資産額300万円を満たすので、第3種旅行業の登録申請が可能です。

※都道府県によっては、最低資本金額以上の財産基準を必要とするところもあります。

地域限定旅行業とは?

地域限定旅行業

地域限定旅行業とは、地域の観光資源の活用や多様化する観光客へのニーズへの対応から、いわゆる「着地型旅行」の商品を提供するための旅行業登録となります。

※「着地型旅行」とは、旅行者を受け入れる地域側が、地域の観光資源を基とした旅行商品や体験プログラムを旅行者へ提供する旅行形態のことをいいます。

海外、国内を問わず自社で募集型企画旅行を行うことはできない旅行業登録を言います。

ですが、下記に参照しているように、一定の場合には国内の募集方企画旅行を実施することができるようになりました。

第一種、第二種旅行業よりもさらに取り扱える業務範囲が狭いため、営業保証金や基準資産額などの財産要件がより低く設定されています。

地域限定旅行業の取り扱う業務の範囲

以下の両方の要件を満たす場合に限り、国内の募集型企画旅行、受注型企画旅行、手配旅行を実施することができます。

1.募集型企画旅行、受注型企画旅行、手配旅行の催行区域が、当該旅行ごとに、当該事業者の一の営業所が存する市町村(東京都の特別区を含む。以下同じ。)及びこれににより形成される区域内に設定されていること。

地域限定旅行業 募集型企画旅行契約 受注型企画旅行契約 手配旅行契約 他社募集型企画旅行代売 登録先
海外 国内 海外 国内 海外 国内 海外 国内 都道府県知事の登録
× × ×

登録の条件

基準資産額が100万円以上あることが必要です。

営業保証金の場合 15万円
弁済業務保証金分担金の場合

(旅行業協会加入の場合)

3万円
基準資産額 100万円

基準資産額 = 資産総額 - 繰延資産(創業費等)- 営業権 - 負債の総額-営業保証金額又は弁済業務保証金分担金

たとえば、資産が200万円・負債100万円・旅行業協会に未加入の会社は営業保証金15万円が必要ですので、200万円-85万円-15万円=100万円となり、基準資産額100万円を満たすことになります。

また、新設の会社の場合には、基準資産額100万円、営業保証金15万円で最低資本金115万円が必要となります。

旅行業協会に加入されている場合は、営業保証金は1/5の金額の弁済業務保証金分担金となりますので、営業保証金15万円を弁済業務保証金分担金3万円に置き換えて算定します。

上記の場合、資本金が103万円あれば、弁済業務保証金分担金3万円を引いても基準資産額100万円を満たすのでで、地域限定旅行業の登録申請が可能です。

※都道府県によっては、最低資本金額以上の財産基準を必要とするところもあります。

旅行業者代理業とは?

旅行業者代理業

旅行業代理業とは、他社の旅行商品を他社のために代理して販売する旅行業者です。

旅行会社からの販売手数料が旅行業代理業としての唯一の収入となり、代理契約を締結した他社の旅行業務の全てを行うことが可能です。

また、営業を行うためには都道府県知事への登録が必要で、他の旅行業とは違い、営業供託金・営業保証金が必要ありません。

具体的には旅行業登録業者と代理業業務委託契約を締結した範囲の旅行業を行う業者が旅行業者代理業となります。

ただし、自社内での旅行の企画はできませんし、2つ以上の旅行業者の代理を行うこともできません。

旅行業務取扱管理者に関しては、旅行業登録業者との代理契約の範囲によって国内の旅行業務しか取扱わない場合には、選任する旅行業務取扱管理者が国内旅行業務取扱管理者の資格を持った方だけでもかまいません。

たとえば、メジャーリーグのグッズなどを販売しているお店が旅行業者代理業を登録し、他の旅行会社が企画したメジャーリーグ観戦ツアーを販売するなどの業務を行うことが可能になります。

旅行業者代理業を登録しても、自ら旅行を企画することはできませんが、「本来の商品とあわせて旅行ツアーも売る」というような事業形態での営業も可能となります。

登録の条件

下記の要件のいずれにも該当しないことが求められます。

1.登録の拒否事由

      1. 第十九条の規定により旅行業又は旅行業者代理業の登録を取り消され、その取消しの日から五年を経過していない者(当該登録を取り消された者が法人である場合においては、当該取消しに係る聴聞の期日及び場所の公示の日前六十日以内に当該法人の役員であつた者で、当該取消しの日から五年を経過していないものを含む。)
      2. 禁錮以上の刑に処せられ、又はこの法律の規定に違反して罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から5年を経過していない者
      3. 申請前5年以内に旅行業務に関し不正な行為をした者
      4. 営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者でその法定代理人が前3号のいずれかに該当するもの
      5. 成年被後見人若しくは被保佐人又は破産者で復権を得ないもの
      6. 法人であつて、その役員のうちに第一号から第三号まで又は前号のいずれかに該当する者があるもの
      7. 営業所ごとに第十一条の二の規定による旅行業務取扱管理者を確実に選任すると認められない者
      8. 旅行業者代理業を営もうとする者であつて、その代理する旅行業を営む者が2以上であるもの

2.事業目的の記載

法人の場合には、定款、登記簿謄本の事業目的に「旅行業者代理業」もしくは「旅行業法に基づく旅行業者代理業」と記載されている必要があります。

3.総合または国内の旅行業務取扱管理者を選任すること。

・海外旅行を取扱う営業所においては、必ず総合旅行業務取扱管理者を選任する必要があります。
・営業所ごとに1人以上の旅行業務取扱管理者(常勤専任で就業のこと。)を選任すること。
・旅行業に関わる従業員数が10人以上の営業所においては、2人以上の旅行業務取扱管理者を選任すること。

4.事業所の要件を満たすこと。

賃貸借契約などの場合、契約書の使用目的が「事業用」などになっている必要があります。

5.旅行業代理業者契約の締結

既存の旅行業者との間で、代理に関わる「旅行業者代理業業務委託契約」を締結していることが必要です。

また、複数の旅行業者と代理業務委託契約を締結することはできません。

旅行業登録についてのお問合わせ

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